【ドミニク・ドゥラン】
自然派の多くの若者達からリスペクトされているドミニク・ドゥラン。1980年代末期から自然派ワインを提唱したビオディナミの先駆者。
ドミニク・ドゥランは1955年ボーヌに生まれ。樽制作会社で5年働いた後、醸造家を志し10年間色々な造り手の下で働き学んだ。ドメーヌ・ド・シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェの醸造長を務めるなど、いわゆる普通のブルゴーニュのドメーヌでワイン造り行ってきた。1988年かつて祖父が所有していた樹齢80年以上のメルキュレの畑を買い戻した。それを機にサン・トーバンの畑を購入し自身のドメーヌを立ち上げた。購入したサン・トーバンの区画は100年以上も前から農薬や除草剤を使用せず昔ながらの農業を続けてきた畑。ビオディナミを主体とした自然農法をスタートさせた。ただし狂信的なビオディナミ信者ではなく、薬剤を使わずに自然のものだけで畑を健全に保つことを心掛けている。
栽培はシンプルで合理的。収穫後に盛り土をして下草は伸ばしっ放し。春には摘芯してパリサージュ(ブドウの枝を支柱などに固定する作業)。できる限り収穫時に未熟なブドウが無いようにするため、夏場は上部の葉の数をコントロールしながらブドウへの日照を調整。要はブドウを健康に保ちながら完熟に向かっていく手助けをするだけ。土壌は痩せているので収量を制限しなくても自然と落ちる。有機肥料も使用しない。肥料として使うのは牛糞から手造りした堆肥のみ。しかもその堆肥を水に溶かし少量ずつ、本当に必要な分だけ使用。醸造もシンプル。腐敗果を残さない厳しい選果を行い、野生酵母のみでの発酵。醸造中の亜硫酸は使用しない。清潔な環境で発酵させ、後は酵母が決めるだけ。
白ワインは醸造所に着いたら直ぐに破砕・圧搾。木製の開放発酵桶で発酵開始。熟成は色々な木樽を使い、一部澱を樽内に残し、ワインの状態を見ながら軽くバトナージュ。何度か移し替えを行うが、清澄、濾過は行わない。赤ワインはほぼ全房発酵。木桶に入れたブドウを足で優しく潰して発酵開始。1ヶ月程度の発酵後、バリックに移す。ほとんどバトナージュはしない。
出来上がるワインはブドウ本来が持つ果実味とテロワールの風味を表現したピュアで濃密な一献となる。正直言ってリリースされているワインはアペラシオンを考えると通常より割高だが、一部のファンから熱烈に支持されている。ブルゴーニュファンなら1度は試してみたいカルト的人気を誇るドメーヌ。
【サン・トーバン・アン・レミー】
ドメーヌを代表するキュヴェ。1988年に植樹された0.7haの区画。アン・レミーの畑はモンラッシェの延長線上にあり、地質的にはモンラッシェとほぼ同じと言われるサン・トーバンを代表する畑。真南を向き、石灰岩含有率が非常に高い。ミュルジェ・デ・ダン・ド・シャンよりも暖かい環境なので優美さやミネラル感だけでなく、力強い果実感が出てくる。傑出した2014年。白/1級畑
*蝋キャップのため多少キャップが欠けている場合もありますのでご了承ください。