【ラルロ】
ドメーヌ・ドゥ・ラルロは1987年に、大手保険会社アクサ・ミレジムがネゴシアンのジュール・ブランが所有していた畑を買い取り設立したドメーヌ。ドメーヌ・デュジャックのジャック・セイスのもとで働いていた、ジャン・ピエール・ド・スメを醸造責任者としてスタートした。創業時から積極的にビオディナミを取り入れた耕作を行い、2003年のヴィンテージから全ての畑がビオディナミに転換した。ブドウは収穫時と収穫後に徹底して選別され、除梗はせず、醗酵は天然酵母で30～32度を超えないように3週間以上にもわたって行われる。ピジャージュは足で1日に3回、ワインを醗酵槽から樽に移す時には重力が利用され、ワインへの負担を最小限に心掛けている。軽く澱引きが行われ、樽熟成の後、無濾過で瓶詰めされる。

出来あがったワインは美しく澄んでいる。色調は薄いが口に含むと果実のエキスが口中いっぱいに開花する。いったいどこにこんなに旨みが詰まっているのかと驚くほど。それはまるで出汁がきいているお吸い物のような美酒。

ジャン・ピエール・ド・スメは2006年末で引退し、その後スメの右腕だったオリヴィエ・ルリッシュが栽培・醸造最高責任者となる。しかし2011年8月、自らのドメーヌ設立のためオリヴィエ・ルリッシュは辞任し、代わりにミシェル・マニャンなどで醸造長を務めたジャック・ドゥヴォージュが就任する。だがジャック・ドゥヴォージュはクロ・ド・タールの醸造長にヘッドハンティングされ、2014年末でラルロを退社。2015年からアレックス・ガンバルで醸造長だったジュラルディング・ゴト女史が就任した。

【ラルロの2017年ヴィンテージ】
醸造責任者であるジェラルディング・ゴドはブドウについてこうコメントした。「2017年は私たち生産者に笑顔をもたらした年。2016年の少ない生産量の後、私たちに最も必要していたものを与えてくれた。それは健康的で品質が高く、豊富な収穫であった」
そして醸造後、「2017 年は本当に驚くべきヴィンテージ。ワインの品質は、私が想像していたよりも遥かに優れていることがわかった」と自負する秀逸な仕上がりとなった。

【ヴォーヌ・ロマネ・レ・スショ】
ラルロの所有するレ・スショはリシュブールの向かい側にある好立地な区画。1992年から所有し面積は0.7ha。平均樹齢60年の古樹で古いものは1950年に植樹されたもの。
 
17％全房発酵。新樽率45％で16～18カ月熟成。ブラックベーリーやラズベリーなどの黒い果実を思わせる香。ベルベットのようなタンニンとエレガントだがヴォリューム感ある果実味がバランスよく調和し、ヴォーヌ・ロマネらしい麗しい逸品。
 
★ヴィノス（ニール・マーティン）92～94点
飲み頃：2021～2040年

＊ヴィノス（Vinous.com）：ワインドアドヴォケイトの次期編集長候補だったアントニオ・ガッローニがワインアドヴォケイトを退社し、2014年に立ち上げたワインサイト。今回レヴューアーのニール・マーティンは2006～2017年までワインアドヴォケイトでブルゴーニュを担当。2016年ヴィンテージまでワインアドヴォケイトのブルゴーニュは彼が採点していた。ワインアドヴォケイトを退社し、2018年よりヴィノスの副編集長。

★ワインスペクテーター　92点
飲み頃：2023～2040年
This is showing some reduction initially, featuring earthy and animal notes that give way to flavors of smoky cherry, violet, iron and spice. A beefy red, with a long, earth-tinged aftertaste. Best from 2023 through 2040. .(Wine Spectator Issue Nov 30,2019）

★ワインアドヴォケイト　92点＋
飲み頃：2022～2040年
Perhaps this wine is just a little more shut down after bottling, but for now I'm inclined to give the domaine's Nuits-Saint-Georges 1er Crus the nod over its 2017 Vosne-Romanée 1er Cru Les Suchots this year. Offering up pretty aromas of raspberries, spices and a discrete framing of new wood, this Suchots is medium to full-bodied, supple and charming, with ripe acids, fine-grained tannins and a nicely defined finish.(Wine Advocate Issue 10th Jan 2020）