【シャントレーヴ】
シャントレーヴは日本人女性醸造家の栗山朋子と、そのパートナーであるギヨーム・ボットの二人によるメゾン。2010年が初ヴィンテージでサヴィニー・レ・ボーヌに居を構える。
栗山氏はワインの大学の名門、ガイゼンハイム大学で醸造学を学び、2011年までラインガウにあるアルテンキルヒ醸造所で醸造責任者を務めていた才媛。ギヨームはピュリニー・モンラッシェのエティエンヌ・ソゼで働いた後、2002年からはサヴィニーのドメーヌ・シモン・ビーズに請われて移籍。当主だった故パトリック・ビーズの右腕として活躍し、今も現役で醸造長を任されている。
二人のメゾンは、買いブドウや果汁の段階からワインを仕上げる。原料の供給元にも足繁く通い、自分たちの目が完璧に行き届く範囲に規模を留めるオートクチュールな造り。原料購入のポイントはまず畑まで出向き、その仕事ぶりを見ること。価格的に15〜20%ものプライムのつくビオの畑を優先して回っているという。
初ヴィンテージの2010年ブルゴーニュ・ルージュは、早くも英国を代表するワイン評論家、ジャンシス・ロビンソンの目にとまり、彼女のウェブサイトで「今週のワイン」に取り上げられ、注目を浴びる。初ヴィンテージから10年足らずだが、現在人気、評価とも急上昇している。ワインアドヴォケイトのブルゴーニュ担当、ウィリアム・ケリーは最新の2019年ヴィンテージを取り上げた号でシャントレーヴをこう称賛している。
「栗山朋子とギヨーム・ボットが2010年設立したシャントレーヴはコート・ドールで、すでにエキサイティングな存在だ。私はこれまでシャントレーヴの魔法のようなワインをいくつか楽しんできた。繊細なタンニンと、心を奪うようなフローラルなブーケを持つワインは五感を魅了する。2019年にサヴィニー・レ・ボーヌにある彼らの小さなワイナリーを訪れたとき、朋子は「赤ワインは2014年から除梗をせずに醸造しており、二酸化硫黄をほとんど使用していない」と説明してくれた。このメゾンの白ワインは足で破砕した後、7時間という非常に長い時間をかけてプレスされ、撹拌はほとんど行われない。そして、再び常温で酵母を使って樽で発酵させる。2019年の白ワインは2018年のものよりも少しリッチで筋肉質であり、赤ワインは逆に骨格は細いが、美しい香りと口当たりで活気に満ちていた。ブラボー!朋子&ギョーム!」(ワインアドヴォケイト2021年1月15日号)
2018年には念願の自社畑、ラドワに位置するアリゴテの畑0.17haを取得。その後2020年にはサヴィニー・レ・ボーヌ、ショレ・レ・ボーヌ、オート・コート・ド・ボーヌに計4.79haの畑も取得した。今後新しいドメーヌ・ワインが続々とリリースされるだろう。
【栗山朋子氏によるシャントレーヴの2019年ヴィンテージコメント】
【白】早熟で重くなりがちな年にあっても、収穫のタイミングを見極め、早めに摘んだ甲斐があり、果実と酸のバランスも良い。若いうちから楽しめる内容だが熟成させてもいいでしょう。
【赤】例年と同じく全房を100%で醸造を行っています。大きなスケール、しなやかなストラクチャー、典雅な果実感。どれも出色の出来です。
*各キュヴェの太字の部分は栗山氏からコメント。
【ニュイ・サン・ジョルジュ・レ・ダモード】
1990年代に植樹された畑。初ヴィンテージは2015年。100%全房発酵。228Lバレルで2冬熟成。新樽率0%。SO2の添加は最小限収穫時、必要な場合のみ。清澄、ろ過せずビン詰め。赤/1級畑
「ニュイ・サン・ジョルジュ最北のプルミエ・クリュの一つで、ヴォーヌ・ロマネとの境に位置していることから、ヴォーヌ・ロマネを想起させる淡麗なミネラル感と重心の高さが特徴です。それにニュイ特有の温かみのあるテクスチュアときめ細かなタンニン。2019年は分けても各要素のバランスが良く、チャーミングでエレガント」(栗山)
★ワインアドヴォケイト 93点+
飲み頃:2023~2042年
The 2019 Nuits-Saint-Georges 1er Cru Les Damodes opens in the glass with notes of black raspberries, sweet spices, petals and loamy soil. Medium-bodied, bright and lively, with a concentrated core of fruit, refined tannins and a long, perfumed finish. I can't wait to see how it develops with a little bottle age. (Wine Advocate Issue 15th Jan 2021)