【ルー・デュモン】
ブルゴーニュで注目の日本人醸造家、仲田晃司が主宰するメゾン・ルー・デュモン。2018年1月NHKの人気番組【プロフェッショナル 仕事の流儀】で仲田氏が取り上げられた。番組ではブドウの買い付けに自ら畑まで出向き、細かく確認する姿や、極上なブドウ以外は容赦なくふるい落とす厳しい選果などが映し出された。そこには一切の妥協を許さない醸造家としての矜持が伝わってきた。
「ワインは造った人の個性が出る。【私は最大限の努力をしてワインを造りました】と胸を張って言いたい。だから自分は出来ることを全部やりたいんです」といった仲田氏の言葉が印象的だった。
1995年に渡仏した仲田氏はボーヌのワイン学校を卒業後、数多のドメーヌやネゴシアンで修行し2000年7月7日七夕の日にニュイ・サン・ジョルジュでルー・デュモンを設立(現在はジュヴレ・シャンベルタンに移転)。彼は伝統的醸造法にこだわりテロワールを重視したワイン造りに取り組んでいる。ブドウの出来により樽の種類、樽の焼き具合、熟成期間などワインごとに細かく対応。その丁寧できめ細かい、緻密な作業は周りのフランス人が呆れるほど。緻密な作業によって生まれたワインは、まさに日本人の職人気質が注ぎ込まれた真摯な逸品。
そんな彼のワインは現在22か国に輸出され、星付きレストランにもオンリストされている。単身でブルゴーニュに渡りここまでの成功を収めた日本人は彼が初めてである。(2022年1月現在ルー・デュモンは27ヵ国へ輸出されている)
仲田氏は畑を所有していないため契約農家からブドウか果汁、または樽で買い付ける。ブドウか果汁で買い付けた物は、自社カーヴで仲田氏が醸造し、熟成、瓶詰めまで行う。樽の場合はマロラクティック発酵まで終了したワインを樽で購入。もちろん発酵などの醸造作業は契約農家任せではなく、仲田氏が細かく指示している。その後のエルヴァージュは自社カーヴで行い、瓶詰めする。(*エルヴァージュ:澱下げ、清澄など樽熟成中に行われる処置。ワインの躾と言われる作業)また両者のワインをブレンドして瓶詰めすることもある。今まではグラン・クリュとプルミエ・クリュにしか使わなかった新樽を2012年からすべてのキュヴェで使用している。そして僅かだが所有畑のブドウで2012年からドメーヌワインもリリースしている。
【ルー・デュモンの2019年ヴィンテージに関して】
2019年は温暖で氷点下になる日がほとんどない冬でした。5~6月と気温が下がり、クリュール(花ぶるい)やミルランダージュ(結実不良)が発生したため、凝縮した小粒のブドウが多くなりました。この時点で収量は2018年に比べ10~20%減が確定し、その後は収穫まで乾燥した日が続きました。年間を通して温度差があったおかげなのか、糖分も酸も十分にあるという会心のヴィンテージとなりました。
【コルトン・シャルルマーニュ】
2013年が初ヴィンテージとなるコルトン・シャルルマーニュ。白ワインが少ないルー・デュモンにとって待望の白のグラン・クリュ。ペルナン・ヴェルジュレス村のアン・シャルルマーニュの区画。平均樹齢40年の古樹使用。2019年は収穫量40hl/ha。天然酵母のみを使用し、樽で一次発酵、マロ発酵を行う。シャサン社製グラン・ファンの新樽100%で16カ月樽熟成。ノンフィルターでビン詰め。生産量はわずか1樽。白/特級