【フィリップ・パカレ】
日本でビオワインの造り手として最も有名で人気のあるフィリップ・パカレ。1991年「プリューレ・ロック」の醸造責任者に就任後、2000年、パカレは自らのドメーヌを設立するために「プリューレ・ロック」を退社。その時、ロマネ・コンティから醸造長のオファーを受けるも、辞退。そして数年後、待望の初ヴィンテージ2001年でセンセーショナルなデビューを飾る。発酵時に酸化硫黄無添加、酵母はすべて天然酵母を使用し、酵母を殺してしまうとされる化学肥料、農薬や除草剤は全く使用しない。出来上がるワインはピュアな果実味溢れる至極の一献となる。
【フィリップ・パカレの2020年ヴィンテージ】
白ワイン
小粒でありながら濃厚な味わいのブドウを収穫できました。その為、足で破砕(フラージュ)を行いました。足でフラージュすることで果皮、果梗からフェノール性化合物をより多く抽出でき、次の圧搾作業にも役立ちます。また2020 年のように熟成度の高いヴィンテージでは、フラージュを行うことにより、しっかりとした骨格のワインに仕上げる事ができます。破砕されたブドウは潰れてジュースが流れ始めると共に、天然酵母を最大化、活発化してくれます。ブドウ果実が小さかった為、圧搾期間は長く、6~7時間かかりました。澱引きも12時間もかかり、全ての天然酵母が自由に働けるよう、温度調節無しで発酵を行いました。2020年の白ワインは熟成度も高いのですが、酸度も十分に高く、重過ぎない良質なヴィンテージになっています。
赤ワイン
赤品種に関しては、種の熟度も良く、糖分の濃密度も高かった。種の熟度、糖分、そして酸味、この3つのバランスを考え、アロマ物質の熟成度を最大に高めた状態で収穫時期を決めました。収穫時期を決める際は、ブドウのフレッシュさ、酸味と糖分のバランス、そしてフェノールとアロマ物質の熟成度を重視しました。タンク入れはブドウの房を壊さない手作業で行うのが必須です。このお陰でタンニンの質が確保されます。除梗せずグラップ・アンチエール(圧搾せず房のまま発酵せせる手法)で5日間、醸した後、15日間のアルコール発酵を行いました。1日2回のピジャージュを行うことで、タンク内の温度は17度から31度へと徐々に上がり、天然酵母の働きを促進しました。2020年は綺麗で輝く色合いで華やかな香。そして、しっかりとした味わいが特徴です。
【ジュヴレ・シャンベルタン・プティット・シャペル】
シャペル・シャンベルタンの斜面真下に位置する1級畑。元々はグラン・クリュに指定される予定だったとも言われるジュヴレ最上のプルミエ・クリュの1つ。平均樹齢45年の古樹。南東向きの区画で小石を多く含んだ粘土石灰質の土壌。フランボワーズやサクランボの果実味が広がり、とてもエレガントで豊かな味わいが特徴。力強さよりも繊細さや上品さが個性で、美しく伸びのあるアフターが印象的。赤/1級畑