【ミシェル・グロ】
ヴォーヌ・ロマネを拠点にし、ブルゴーニュを代表する造り手、グロ家。現在グロと名の付くドメーヌは4つあるが、そのグロ家の本家がこのミシェル・グロ。1995年に先代ジャン・グロが引退し、ミシェルがドメーヌを引き継いでから、さらなる飛躍を遂げた。また過去にはヴォーヌ・ロマネ組合の理事長を務めていた。ワインはブドウの力を最大限引き出すために比較的高温で発酵させ、エレガントで豊潤な果実味をバランスよく引き出している。このドメーヌのワインはヴォーヌ・ロマネの魅力が詰まったお値打ちの逸品ばかり。
ドメーヌは2020年からミッシェル・グロから息子ピエール・グロに受け継がれ新たなスタートを切った。1990年生まれのピエールは当初ドメーヌを継ぐ気はなかったという。パリで工学の学位を取得し、エンジニアとしてパリやロンドンのカナリー・ワーフで働いていた。しかしワイン造りへの思いが募りブルゴーニュに戻り、エンジニアの仕事と並行して、父ミシェルの下でワイン造りを学んだ。2016年には働きながらブドウ栽培の学位を取得。2019年ワイン造りに専念するためエンジニアの職を離れた。2020年からは栽培、醸造はピエールが陣頭指揮を執り、ミシェルは一線を退きサポートにまわった。新生ミシェル・グロが本格的にスタートを切った。2022年にはグロ・フレール・エ・スールとのフェルマージュ契約が終了し、エシェゾーやリシュブールの畑が戻ってくるという。ますます今後が楽しみである。
【ミシェル・グロの2021年ヴィンテージに関して】
2020年から2021年にかけての冬は温暖で湿度が高く、冬が明ける頃には土壌に十分な水分が蓄えられていた。2月末に温かくなり、早期の芽吹きを心配したが、幸いにも3月に入ると冷涼な気候に戻り、月末になって気温が上昇していった。ブドウの成長が既に始まっている中、4月6~8日に霜が降り衝撃的な惨事となった。損害はとても深刻でコート・ド・ニュイでの損失は平均すると40~50%となった。幸いオート・コート・ド・ニュイは標高が高く、成長が遅いために霜害を逃れた。
4~5月は冷涼な気候だったため、ブドウが成長サイクルを再開するのに時間がかかったが、6月に夏が訪れ電光石火のごとき成長が加速した。7月はあまり好天に恵まれず、畑仕事は至って困難だった。8月中旬から天候は回復し、色づきや成熟が助けられた。収穫は9月19日に始まり、10月3日に終わりました。コート・ド・ニュイのブドウは、収量は少なくなったが健全でとても満足いく仕上がりだった。一方、オート・コート・ド・ニュイでは9月末に雨が降り出したことから品質にばらつきがあり、厳しい選果が必須となった。
ここ近年の3ヴィンテージ(2018~2020年)と異なり、2021年はより冷涼な年だが、難しい天候を克服し良質なクラシックなヴィンテージです。美しいバランスが特徴で、果実味が高く、美しく繊細です。下のクラスは今すぐにでも楽しめ、上級キュヴェ(村名以上)は長期熟成に応えてくれるでしょう。
【モレ・サン・ドニ・アン・ラ・リュ・ド・ヴェルジ】
1995年にミシェル・グロが購入した畑。初ヴインテージは2000年。この畑は険しい急斜面にあり、特級畑クロ・ド・タールの上方に位置し、北側は特級畑クロ・ド・ランブレイに隣接しているモレ・サン・ドニの村名畑。傑出した優良畑で、現在INAO(アペラシオン統制機構)へ1級畑への昇格が申請されている。標高が高いうえに、コンブランシアンの硬い石灰岩の石ころがごろごろと転がり、ミネラル感豊かな繊細でエレガントなワインとして定評がある。赤/ACモレ・サン・ドニ
2021年のヴィノス評を抜粋すると以下の通り。
「2021年のモレ・サン・ドニ・アン・ラ・リュ・ヴェルジは濃密な果実味、桑の実、ブラックベリー、スー・ボワ、タバコの香りがあり、今はバランスに少し欠けているが、エルバージュ(樽熟成)中にまとまるだろう。口当たりはミディアムボディで、しなやかな口当たり、ベルベットのように滑らかさで、絶妙な酸と非常に繊細でシルキーなフィニッシュ。2~3年のビン熟成が必要だが、(その後には)非常にエレガントなモレがそこに待っているだろう」
★ヴィノス 90~92点
飲み頃:2025~2036年
The 2021 Morey-Saint-Denis en la Rue Vergy has darker fruit, mulberry and blackberry, sous-bois and tobacco scents, missing a little harmony but it will stitch together during its élevage. The palate is medium-bodied with a supple opening, velvety smooth, well judged acidity with a very nuanced, silky finish. Give this a couple of years in bottle but there is a very elegant Morey in waiting here.(By Neal Martin on November 2022)