【ドルーアン・ラローズ】
ドルーアン・ラローズは5代に渡って続いているジュヴレ村の家族経営のドメーヌ。1850年にジャン・バプティス・ラローズがジュヴレ・シャンベルタンの地にブドウ畑を取得したのが、このドメーヌの始まり。1919年にラローズ家のスーザン・ラローズとシャンボール・ミュジニー村のアレクサンドル・ドルーアンが結婚し、ドルーアン・ラローズが誕生した。

　特筆すべきは約15haある自社畑の半分がグラン・クリュということ。シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ、ミュジニー、クロ・ド・ヴージョ、ボンヌ・マール、ラトリシエール・シャンベルタン、シャペル・シャンベルタンと6つのグラン・クリュを所有している。なかでも「シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ」と「ミュジニー」は別格といえるほど完成度の高いワインとして定評がある。近代的なセラーで伝統的な方法を用いて醸造。

当主フィリップ・ドルーアンの娘、キャロラインと息子のニコラスがドメーヌに参画してから、近年評価はうなぎ上りで仏のワイン専門ガイド【アシッェトワインガイド2018】でワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。以前は新樽率が高く、樽のニュアンスがやや強かったが、2014年から新樽率をグラン・クリュ80％、プルミエ・クリュ40％、ヴィラージュ20％に変更した。最高の土地と、恵まれたテロワールを生かして香り高く、エレガントで豊潤なワインに進化している。

2016年ヴィンテージではワインアドヴォケイトで「アルマン・ルソーやドニ・モルテに比肩する最高のものを見つけ出すことが出来るだろう。あなたが過去に持っているこのドメーヌの偏見をひとまず脇に置いて未来を見てほしい」（2017年12月30日号）と評したほど。
 
ヴィノスの2021年バレルテイスティングの記事を抜粋する。執筆は副編集長のニール・マーティン。
「以前の記事でもお伝えしたが、今のドルーアン・ラローズのワインは、父親であるフィリップ時代のスタイルとは全く異なる。父親の代はややオークが濃すぎる傾向があった。スタイルの変化はドメーヌ・デュガほど180度変わったものではないかもしれないが、そう遠くはない。現在の成長期を考えると、これは賞賛に値するポートフォリオだ。フレッシュでテロワール主導ではあるものの、偉大なキュヴェのいくつかはまだまだ本来の姿を表現できていないかもしれない。しかし2021年のクロ・ド・ヴージョやシャンベルタン・クロ・ド・ベーズは十分に素晴らしい。また非常に上質なジュヴレ・シャンベルタン・クロ・プリュールや傑出したクレピヨにも注目して欲しい」（ヴィノス　2022年11月号）

【ボンヌ・マール】
ボンヌ・マール（15ha）はモレ・サン・ドニ（1.5ha）とシャンボール・ミュジニー（13.5ha）にまたがるグラン・クリュ。クロ・ド・ラ・ロッシュと双璧をなす長熟なワインとして知られる。ドルーアン・ラローズの畑は1.5haでシャンボール側に位置する。
ヴィノス評を抜粋すると以下の通り。
「2021年のボンヌ・マールは全房率15％発酵、新樽率80％で熟成。この気候にしては比較的軽いノーズを持つ（他のいくつかのワインも同様だが）。（果実味は）繊細な描写で奇麗に焦点が合っているが、色気が少し足らない。口当たりはミディアムボディで繊細なタンニンがあり、適度な重みがあり、きれいな赤いベリーの果実味に乾燥したオレンジの皮とマーマレードが混じり、フィニッシュは穏やかで調和がとれている。素晴らしい」

★ヴィノス　92～94点
飲み頃：2025～2045年
The 2021 Bonnes-Mares Grand Cru is matured in 80% new oak with 15% whole bunches. It has a relatively light nose for this climat (though in keeping with several others encountered.) Fine delineation, nicely focused but just missing a bit of sensuality. The palate is medium-bodied with fine tannins, moderate weight, pretty red berry fruit laced with desiccated orange peel and marmalade, gentle and harmonious on the finish. Fine.(By Neal Martin on November 2022)
 
★クリスティ・カンタベリー（MW）95点
The Drouhins have four parcels totaling almost two whopping hectares. About 40% is on the red soils and 60% on white. This has a pretty, effusive nose with that spicy Bonnes Mares typicity. The palate is sappy with chunky mulberry and cherry fruit as well as baked strawberries. It's exotic and expansive with a more relaxed structure than the other Grand Crus. This might be more accessible a bit earlier, but don't rush to open it. （Christy Canterbury）

＊クリスティ・カンタベリー：ニューヨークを拠点にするワイン評論家。米国でマスター・オブ・ワイン（MW）の資格を獲得した7番目の女性。数多の専門誌でのワイン評論の他、星付きレストランやホテル、ワインショップなどのコンサルタントも行っている。