【ジャン・マルク・ブロカール】
ドメーヌの設立は1973年と歴史は浅いが今やシャブリを代表するドメーヌとなったジャン・マルク・ブロカール。僅か0.3haの畑からスタートしたが、現在は200haの畑を所有している。これだけ広大な畑を所有しながら現在も家族経営を続けている稀有なドメーヌ。
当主のジャン・マルク・ブロカールはシャブリへのこだわりをこう語る。「シャブリ本来の味わいはキンメリジャン土壌がもたらすミネラルとヨード香。これがシャブリの真髄。私達がシャブリで表現するのは【純粋さ・ミネラル・新鮮さ】である」と。そう、新樽100%なんて無縁な真性のシャブリ。
キンメリジャン土壌とは1億5千万年以上前の堆積土で、貝類の化石を含む粘土泥灰土と石灰岩の層が交互に重なって形成されたもの。この土壌にブドウ樹は深く根をおろす事で土中のミネラルを十分に吸い上げる。また海底の堆積物に由来するヨード香もシャブリの重要な個性のひとつとなる。
現在ドメーヌはジャン・マルクと次男のジュリアンが中心となって運営している。2代目のジュリアン・ブロカールもシャブリへのこだわりは父と同じである。特筆すべきはジュリアンがドメーヌに参加してからジャン・マルク・ブロカールの品質がさらに高まったことである。その理由の一つが1998年から畑をビオディナミへ転換したことだろう。当初、父のジャン・マルクは大反対したという。「ビオディナミはカルト的な農法だ」と。しかし転換を始めた畑の品質が向上していくのを目の当たりにして、現在は賛成しているという。
当時のことをジュリアンはこう語る。
「当時はこの冷涼で湿気の多いシャブリの地でビオディナミを実践するなど不可能に近いと思われていた。周囲から見たら僕は変人で、父が努力して築いたものを台無しにしてしまうと思っただろうね。父は大反対していたし、自分でも最初は不安だらけだった。でも翌年に尊敬するシャブリの造り手の一人、ヴァンサン・ドーヴィサもビオディナミに転換すると聞いた時は嬉しかった。ビオディナミを導入して以来、その区画のブドウ樹はヴィンテージによる天候などの外的影響を受けにくくなったよ」
現在所有する200haのうち80%がビオディナミへの転換が完了している。残りは転換中である。一つのドメーヌのビオディナミ栽培面積ではブルゴーニュで最大である。シャブリの真髄であるまっすぐに伸びるミネラルとヨード香を味わいたい人にはお薦めの一献!
【シャブリ・プルミエ・クリュ・コート・ド・レシェ】
コート・ド・レシェは37haという大きな畑で、ミリー村に位置し南東向きの日当たりの良い1級畑。丘の頂上からはシャブリの街並みを見下ろすことが出来る。斜面の最大傾斜は32度にもなり、その優れた日照からブドウの生育スピードは他の畑より少し早くなる。キンメリジャン土壌でミネラルは強く、この畑ならではの凝縮感ある果実が特徴。果実味溢れるリッチなワインとして定評がある。