【シャントレーヴ】
シャントレーヴは日本人女性醸造家の栗山朋子と、その夫であるギヨーム・ボットの二人によるメゾン。2010年が初ヴィンテージでサヴィニー・レ・ボーヌに居を構える。
栗山氏はワインの大学の名門、ガイゼンハイム大学で醸造学を学び、2011年までラインガウにあるアルテンキルヒ醸造所で醸造責任者を務めていた才媛。ギヨームはピュリニー・モンラッシェのエティエンヌ・ソゼで働いた後、2002年からはサヴィニーのドメーヌ・シモン・ビーズに請われて移籍。当主だった故パトリック・ビーズの右腕として活躍し、2021年まで醸造長を務めた。しかし2022年21年間勤めたシモン・ビーズを退職し、シャントレーヴに専念することになった。それを機に2022年(ヴィンテージは2020年)からラベルデザインを一新した。
ワインは買いブドウや果汁の段階からワインを仕上げるネゴス・ワインと自社畑によるドメーヌ・ワインがある。ネゴス・ワインは原料の供給元にも足繁く通い、自分たちの目が完璧に行き届く範囲に規模を留めるオートクチュールな造り。原料購入のポイントはまず畑まで出向き、その仕事ぶりを見ること。価格的に15〜20%ものプライムのつくビオの畑を優先して回っているという。ドメーヌ・ワインは2018年に念願の自社畑、ラドワに位置するアリゴテの畑0.17haを取得。2020年にはサヴィニー・レ・ボーヌ、ショレイ・レ・ボーヌ、オート・コート・ド・ボーヌに計4.79haの畑も取得。ドメーヌ・ワインのラインナップは着実に増えている。
買いブドウはリュット・レゾネ、有機農法、ビオディナミのいずれかのブドウを使用。自社畑は有機農法、ビオディナミ(認証なし)、フィトテラピー(植物療法)により栽培されている。
白ワインはブドウを破砕後、長い時間(6~7時間)かけてプレス。自然酵母による常温発酵。228Lから600Lの樽で12カ月熟成(新樽はごくわずか)。赤ワインは2014年より100%全房発酵。自然酵母で発酵。228Lの樽で2冬熟成(新樽はほとんど使用せず)。白、赤とも無清澄で、無濾過でビン詰め(場合によっては軽い濾過をかけることもある)。必要な場合のみ熟成中とボトリング前に必要最小限のSO2添加を行う。
初ヴィンテージの2010年ブルゴーニュ・ルージュは、早くも英国を代表するワイン評論家、ジャンシス・ロビンソンの目にとまり、彼女のウェブサイトで「今週のワイン」に取り上げられ、注目を浴びる。初ヴィンテージから10年足らずで、人気、評価とも急上昇している。ワインアドヴォケイトのブルゴーニュ担当、ウィリアム・ケリーは2019年ヴィンテージを取り上げた号でシャントレーヴをこう称賛している。
「栗山朋子とギヨーム・ボットが2010年設立したシャントレーヴはコート・ドールで、すでにエキサイティングな存在だ。私はこれまでシャントレーヴの魔法のようなワインをいくつか楽しんできた。繊細なタンニンと、心を奪うようなフローラルなブーケを持つワインは五感を魅了する。2019年にサヴィニー・レ・ボーヌにある彼らの小さなワイナリーを訪れたとき、朋子は「赤ワインは2014年から除梗をせずに醸造しており、SO2をほとんど使用していない」と説明してくれた。このメゾンの白ワインは足で破砕した後、7時間という非常に長い時間をかけてプレスされ、撹拌はほとんど行われない。そして、再び常温で酵母を使って樽で発酵させる。2019年の白ワインは2018年のものよりも少しリッチで筋肉質であり、赤ワインは逆に骨格は細いが、美しい香りと口当たりで活気に満ちていた。ブラボー!朋子&ギョーム!」(ワインアドヴォケイト2021年1月15日号)
【サヴィニー・レ・ボーヌ・レ・ゴドー・ルージュ】
サヴィニーの1級畑、ラヴィエールの斜面上部に位置し、タルメットに隣接している畑。
「扇状地形のマルヌ土壌で谷間から終始冷涼な空気が斜面に沿って流れていくので、標高が高いドメーヌのもう一つのサヴィニーの畑、ドシュ・ドゥ・モンシュヌヴォワと収穫のタイミングがほぼ同じになるほど冷涼な畑。マルヌ土壌なので、ボディーは肉厚でタンニンも豊富。水はけが良い礫の多い畑なので、エレガントな仕上がりになります」(栗山)。2022年の生産量は4樽。(ドメーヌワイン)
赤/ACサヴィニー・レ・ボーヌ