【ギュファン・エナン】
白ワインの魔術師と異名をとるジャン・マリー・ギュファン。彼のワインで一般的に馴染みがあるのは1980年に立ち上げたメゾン、ヴェルジェ。コストパフォーマンスが高く、白ワインが好きなブルゴーニュファンにはお馴染のブランド。だが彼のワインを語るとき欠かせないがドメーヌ物のギュファン・エナンである。
ジャン・マリー・ギュファンは1970年代に妻と共にベルギーからブルゴーニュに移住し、マコンで自らのドメーヌ、ギュファン・エナンを設立した。安ワインだったマコンのイメージを覆し、瞬く間にトップ生産者の仲間入りを果たしたのは周知のこと。ヴェルジッソン、ピエールクロ、ダバイエ村に約5.3haの畑を所有し、マコン、サン・ヴェラン、プイィ・フュイッセなどを生産している。傑出したこれらのワインはアペラシオンの境界線を軽く飛び越えコート・ド・ボーヌの有名プルミエ・クリュ、グラン・クリュに匹敵するほどのクオリティーを持っている。
ギュファン・エナンはフランスのワイン専門誌「RVF(レヴュー・デュ・ヴァン・フランス)」では最高の3つ星の評価。「ベタンヌ・ドゥソーヴ」でも5つ星の最高評価。ちなみにベタンヌ・ドゥソーヴで5つ星を獲得しているブルゴーニュの生産者はロマネ・コンティやアルマン・ルソーなどを含めてわずか11軒のみ。またワインアドヴォケイト、ワインスペクテーターなどでの高評価は枚挙にいとまがないほど。ロバート・パーカーはかつて彼のことを「狂人的天才」と評したほど。ちなみにパーカーの「ワイン・バイヤーズ・ガイド」でもブルゴーニュの白ワイン生産者で最高評価の5つ星となっている。
「テロワールがワインを造るのではない。私がテロワールに影響を与えているのだ」と公言するジャン・マリー・ギュファン。ヴィンテージにより醸造法も微妙に変化する。亜硫酸を添加せず自然酵母で発酵。無清澄、無濾過でビン詰めされる。出来上がるワインは凝縮された果実味が詰まった美酒となり、熟成と共に偉大さを増していく。ブルゴーニュを代表する偉大な白ワイン。
【ギュファン・エナンの2022年ヴィンテージ】
「2022年は例年と異なる特別なヴィンテージだった」と私が言ったところで、皆さんが驚かないことは分かっています。なぜなら、最近のほぼ全てのヴィンテージがそうなのですから。普通でないことが普通になっているという事実を受け入れなければならない。
冬は穏やかで、暖かな春を迎えました。順調に生育期が始まりましたが、4月中旬に低気圧の影響で気温が急激に下がり、霜害の対策に追われました。ドメーヌ・ギュファン・エナンでは冬の終わりに2回目の剪定をすることで、出来るだけ芽吹きを遅らせ、辛うじてこれを逃れることができましたが、2度の剪定は大変な労力でした。
その後は猛暑と干ばつが長く…本当に長く続きました。開花、結実までは非常に順調で豊作を見込んでいましたが、その期待は捨てました。この気候の影響により水分ストレスがかかり、ブドウ樹内の循環は滞り、ブドウの実が思うように膨らんでくれなかったのです。しかしその一方で、過剰な糖度の上昇は防ぎ、酸をある程度保つこともできました。収量は減りましたが、ブドウは私が求める理想的なバランスになってくれました。
ヴェルジッソンでは6月末に雹害を受けた影響で、収量は20%減となりました。プイィ・フュイッセの偉大な1級畑であるシュール・ラ・ロッシュやレ・クレイ、そしてレ・クルーはもともと単一キュヴェでの生産を考えていましたが、結局ブレンドしたキュヴェ(プイィ・フュイッセ・プルミエ・ジュ・デ・オー・デ・ヴィーニュ)を造ることになりました。実はシュール・ラ・ロッシュは2022年で畑の賃貸契約が終了し、これが最後の収穫となりました。よって最後を飾るキュヴェを造りたかったのですが、残念ながら天候がそうさせてくれませんでした。(ジャン・マリー・ギュファン)
ワインアドヴォケイトでは2022年をこう評している。
「樽から試飲した2022年は傑作だった2020年に匹敵するほどではないが、ギュファンの高い熟成度と生き生きとした酸味、チョークのような構造エキスを組み合わせ、比類のない仕上がりだ。重さを感じさせず、力強さを表現している並外れた能力を持ったワイン」(2023年10月20日号)
【マコン・ピエールクロ・プルミエ・ジュ・ド・シャヴィーニュ】
ジュリェットの区画を除く、シャヴィーニュで最も古い樹齢のブドウを使用。果実の力強さと上質な酸を保つためにファースト・プレス果汁(フリーランジュース)のみ厳選し使用。熟成に使う樽は新樽比率を25%以下にすることで、2022年の猛暑をあまり反映せずにクラシックなスタイルに仕上げた。20年前後の熟成が約束された長熟な1本。
バレルテイスティングでのワインアドヴォケイト評を抜粋すると以下の通り。
「2022年はグラスの中で柑橘系果実の果皮、白い花、さわやかな核果の香りが広がり、ほのかにエキゾチックな香りがそれを引き立てる、まだ熟成中の素晴らしい若ワイン。ミディアムからフルボディで、力強く張りがあり、凝縮感がある。シャヴィーニュは暖かいヴィンテージの時は素晴らしいパフォーマンスを見せるが、2022年も例外ではない。93~95点」(2023年10月20日号)。その後ビン詰め後テイスティング94点の評価となった。
★ワインアドヴォケイト 94点
飲み頃:2025~2045年
The 2022 Mâcon-Pierreclos 1er Jus de Chavigne has turned out beautifully, wafting from the glass with aromas of waxy citrus fruit, white peach, buttery pastry and freshly baked bread. Medium to full-bodied, satiny and seamless, it's racy and intense, with a tangy spine of acidity that carries through the long, saline finish. As ever, "1er Jus" indicates that this cuvée is produced with the free-run and first-press juice (which is lower in pH and higher in acidity, bringing more tension) from the Chavigne vineyard. (Wine Advocate Issue Nov08,2024)



