【ヴァンサン・ルグー】
2008年に誕生した新星ドメーヌ、ヴァンサン・ルグー。ヴァンサン・ルグーの祖父ジェラール、父ジャッキーともロマネ・コンティ(DRC)社に生涯従事した人物。当然のことながら彼も1998年に丁稚としてDRC社に入社。栽培から醸造、熟成、出荷まで幅広く経験した後に正社員となった。アンリ・オーディフレッドがロマネ・コンティとラ・ターシュの栽培を担当していた頃、ヴァンサン・ルグーはグラン・エシェゾーとエシェゾーの栽培を担当。オーディフレッドと並ぶ若手のエースとして活躍していた。歴史的グレート・ヴィンテージ2005年のブドウ栽培を全うし、翌2006年8年間務めたDRC社を退社し、自らワイン造りを決意する。
ヴォーヌ・ロマネ村から畑を上がった隣村コンクールの実家のドメーヌに戻った彼は、まずは土壌改良を行った。2年後の2008年に正式にドメーヌを継承し、本格的に自社ビン詰めを開始した。ドメーヌ・ヴァンサン・ルグーの誕生である。2009年からビオロジック栽培への切り替えを開始し、2010年から全ての畑がビオロジックとなった。収穫は全て手摘み。醸造に関しては基本DRCと同じやり方をしているが、全房発酵ではなく、除梗を行っている。除梗率は年によって異なり60%~90%となっている。白は全房発酵。天然酵母のみで発酵。赤ワインは無清澄で瓶詰めされる。
「栽培も醸造も基本的にはDRCでやってきたことをそのまま行っている。違うのは除梗率や新樽率だけ。最も大事なことは【observation/オプセルヴァシオン(観察)】。すべてにおいて、自分の目で見て確認するということ」と語るヴァンサン。そして理想とするワインは「エキスがたっぷりと抽出されていて、かつ濃くなく上品なワイン」と言う。
親子3代にわたって勤めたDRC社との人間関係は今も深く、同社オーナーのオベール・ド・ヴィレーヌ、DRCの醸造長だった元上司のベルナール・ノブレも、年2回は彼のドメーヌへ試飲に訪れ価値あるアドバイスをしてくれると言う。DRCの流儀を受け継いだ注目の造り手。
【ピュリニー・モンラッシェ・レ・ルシュー】
単一畑、レ・ルシューのブドウで造られる。所有区画0.17ha。樹齢60~70年の超古樹。樽で発酵後、新樽30%、1~5回使用樽70%で16カ月間熟成。本人曰く「ピュリニー・モンラッシェで最も遅く収穫をしている」とのこと。晩熟果実に由来するふくよかな果実味と透明感のある酸味、樽由来の香ばしさが複雑さに調和した、飲みごたえのある1本。白/ACピュリニー・モンラッシェ