【ロウシーン・カーリー】
母国アイルランドで家業の薬局で薬剤師をしていたロウシーン・カーリーは、やがてワインに強く惹かれるようになり、フランスのモンペリエ大学(2011年)とドイツのガイゼンハイム大学(2012年)で栽培と醸造の修士号を取得した。その後数年間、ボルドーの「シャトー・ラトゥール」とローヌの「シャトー・グリエ」に勤務し、ワイン造りの実際を学んだ後の2015年、ブルゴーニュのボーヌ市に自身のマイクロネゴシアンを起ち上げた。
ブドウは厳格なリュット・レゾネ栽培、ビオロジック栽培、ビオディナミを実践する栽培農家から購入している。彼女のワイン造りの哲学は「自分の味覚と直感を信じ、雑念や流行に惑わされることなく、最も純粋な意図を持って私自身が本当に飲みたいと思うワインを造ること」と語る。醸造レシピは使わず、できる限り人的介入を少なくし、ブドウ、果汁、ワインがどのように変化・発展していくかを感じることを重視しているという。「私のワインはブドウ畑と収穫されたヴィンテージに対する私の解釈であり、これが最も真実の表現につながると考えています」というロウーシン。そんな彼女はワインをより深く理解したいという思いから、2020年にマスター・オブ・ワイン(2024年11月時点で資格者は世界で421人しかいない。日本人では1人)の資格を取得した。
ワインは自然酵母のみで発酵し、除梗率はヴィンテージやアペラシオンによって異なる。初ヴィンテージは2015年。
「必ずしも高く評価されていないアペラシオンやブドウ品種を支持しています。2015年にAOCボーヌのピノ・ノワールとAOCサン・ロマンのシャルドネを購入しワイン造りを始めました。これらのアペラシオンの偉大さと可能性を信じているからです。アリゴテには深い愛情を持っていますし、ボーヌ・ブランに10%のピノ・ブランをブレンドすることは、多様性を保護し、歴史的なブルゴーニュのぶどう品種を称えるために、私にとって刺激的で非常に重要です。アペラシオンや畑の格付けに一切関係なく、すべてのワインをグラン・クリュのワインと同じ注意深さと愛情を持って醸造しています」と語る。
そんな彼女のワインは自国フランスではほとんど無名の存在だが北欧で注目を集め人気である。(それは同じマイクロネゴシアンのニコラ・フォールと全く同じパターンである)そんな彼女のワインの注目度を証明するかのように「The World’s 50 Best Restaurants 2022(2022年度世界のベスト・レストラン50)」で1位に輝いたコペンハーゲンのゼラニウムに採用されたのを筆頭に数多の星付きレストランにオンリストされている。ニコラ・フォールのように入手困難になる可能性大なので、ブルゴーニュファンは見逃せない。
【フィサン・アントル・ドゥー・ヴェール・ルージュ】
アントル・ドゥー・ヴェールの区画のブドウを使用。面積0.26ha。粘土質・泥土質・砂質土壌。樹齢約40年の古樹。収量は43hl/ha。100%除梗し、ステンレスタンクでアルコール発酵後、228リットルと114リットルの樽でマロラクティック発酵&12カ月間熟成。新樽は不使用。無清澄・ノンフィルターでビン詰めされた。ラベルにシリアルナンバーが記載されている。



