モレ・サン・ドニの名匠ユベール・リニエ。高齢によりユベールは一線から退くことになり、ドメーヌの当主は息子ロマンに引き継がれた。しかし2004年ロマン・リニエは脳腫瘍により34歳の若さで死去。その後、妻ケレンが引き継ぐことになり、ドメーヌ名は2人の子供リュシーとオーギュストの名前がつけられたリュシー・エ・オーギュスト・リニエとなる。ユベールは僅かなブドウの供給となり、買いブドウによるネゴシアンもスタートさせ、ユベール・リニエ名義のワインを細々とリリースしていた。だが数年後ケレンは子供と一緒に母国米国に帰国(ドメーヌの運営などで義父ユベールと対立し、いろいろな軋轢があったのは想像に難くない)。結果、老匠ユベール・リニエが引退を撤回し、大手メゾン、ビショーで働いていたもうひとりの息子ローランがドメーヌに戻り、新たなユベール・リニエがスタートした。
2014年、ケレンとのメタヤージュ契約が解消され、ドメーヌの畑が100%戻ってきた。畑の管理もドメーヌで行えるようになり、2014年からは従来のドメーヌの生産を再開した。2016年秋にはローランが日本へ来日し、生産者セミナー、イベントを実施。ドメーヌ・ユベール・リニエの完全復活を知らしめた。
かつてはリッチで凝縮感が高く、新樽の香りも強かったユベール・リニエのワインだが、ロマンになってからバランス重視のエレガントなワインに変化し、さらに高い評価を受けるようになった。ユベールが現場復帰しても過去のスタイルに戻そうとせず、ロマンのスタイルを継承している。昔のユベール・リニエを支持していたアメリカ市場だけでなく、 世界的に高い評価を受けるようになっている。
傑作となった2016年のユベール・リニエをワインアドヴォケイトでこう称賛している。
「このドメーヌとは長い付き合いです。彼らと知り合ってからドメーヌの評判は年々高まっていきました。ロマン(長男)の早すぎる死とそれに続く未亡人(ケレン)との争いという波乱の後、82歳のユベールと息子のローラン・リニエ(次男)という堅実な父子体制のおかげで、ドメーヌは安定しました。そして、この2016年は試飲していて非常に楽しいものでした。ブルゴーニュ愛好家は特定の有名畑にこだわる傾向がありますが、私のお薦めは素晴らしいモレ・サン・ドニ・プルミエ・クリュ・ヴィエイユ・ヴィーニュです。そして、もしお金に糸目をつけなければ、今回5週間のブルゴーニュ滞在で試飲した中で間違いなく最高の1本はリニエのクロ・ド・ラ・ロシュです。この生産者は畑で細心の注意を払い、ワイナリーでも腕を振るっています。ドメーヌの運営に関しては、すべてがシンプルで率直ですが、複雑さはボトルの中に宿っています」(ワインアドヴォケイト2017年12月30日号)
【クロ・ド・ラ・ロッシュ】
ドメーヌの魂とも言えるキュヴェ。クロ・ド・ラ・ロッシュを造っている生産者は多くいるが、ユベール・リニエのこのワインは「クロ・ド・ラ・ロッシュの中のクロ・ド・ラ・ロッシュ」と言っても過言ではない。これぞモレ村の真髄ともいうべき銘酒。
クロ・ド・ラ・ロッシュは8つの畑で構成されているが、このキュヴェはモン・リュイザンの畑(1955~1965年に25度の傾斜の斜面に植樹)とフルミエールの畑(1953~1960年に植樹)のブドウが使用されている。2016年はモン・リュイザン3分の2、フルミエール3分の1。除梗率70%で発酵、新樽率30%で熟成された。
2016年はワインアドヴォケイトでバレルテイスティングながら97~99点という高評価でこう絶賛された。
「私はこれより優れたクロ・ド・ラ・ロッシュをまだ味わったことがない」
★ワインアドヴォケイト 97~99点
飲み頃:2022~2050年
The 2016 Clos de la Roche Grand Cru is matured in 30% new oak with up to 30% whole cluster fruit, two-thirds from Montluisants and one-third Fremiers. It has an intoxicating bouquet that is extraordinarily complex: shimmering red berry fruit, blood orange, incense and a touch of crushed violet. The palate is medium-bodied with fine grain tannin, wonderful depth and harmony, laser-like focus toward the finish that lingers in the mouth. Stunning mineralité here—the tongue feels as if it licked limestone 30 second after the wine has disappeared. If there is a better Clos de la Roche then I have not tasted it (yet).

▲Wine Advocate *リニエのクロ・ド・ラ・ロッシュ2016はルロワ、ポンソ、アルマン・ルソー、デュジャック、アルローなどを蹴散らし、ワインアドヴォケイトが試飲したクロ・ド・ラ・ロッシュ2016の中で最高得点を獲得した。



