【ヴァンサン・プリュニエ】
プリュニエ家は1762年生まれのニコラ・プリュニエを始祖として、現在コート・ド・ボーヌ地区に5つのドメーヌを展開する名門一族。ヴァンサン・プリュニエはその中の一人で1988年自らのドメーヌを設立し、ワイン造りをスタートさせた。始祖から数えて5代目にあたる。現在は、看板ワインとなっているサン・トーバンの一級畑の他、ピュリニー・モンラッシェ、シャサーニュ・モンラッシェ、ムルソー、オークセイ・デュレスなどに合計17ヘクタールの畑を所有。オリヴィエ・ジュアンの友人でもあり、オリヴィエ同様に1日のほとんどを畑で過ごす。さらに清潔で全てが理路整然と組み立てられた醸造所は、誰もがお手本としたくなるような機能美に満ちている。勤勉で頭が切れ、ワイン造りに対して真摯な姿勢が伝わってくる人物。ヴァンサンはこう語る。
「私自身、ミネラリーなワインが大好きなので、何よりも畑を耕して土中のミネラルをできるだけ多くブドウに取り込むことに集中しています。一旦ブドウを収穫したら、それ以降の醸造の過程で、ミネラルが失われることはあっても、増えることはありません。だから醸造ではワインをできるだけ「いじらない」ことを心がけています」と。
そして特筆すべきは価格が良心的であること。フランスを代表するワイン専門誌「ラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス」が毎年刊行している通称「低価格帯ベストワインガイド」では常連となっている。
【サン・トーバン・アン・レミリー】
ドメーヌの看板ワイン。サン・トーバンの1級畑の中でも最上の評価を得ているのがレ・ミュルジェ・デ・ダン・ド・シヤンとこのアン・レミリー。「ベイビー・モンラッシェ」「ミニ・モンラッシェ」などと称されることもある。それもそのはずで畑はグラン・クリュのモンラッシェの延長線上の斜面に位置する。除梗せずに天然酵母で醸造。小石混じりの石灰質土壌で、平均樹齢20年。新樽率25%で12カ月間熟成。
フレッシュな柑橘系の果実、蜂蜜の香りがグラスから溢れ出す。すっきりとした酸としっかりとしたミネラルが口中で広がり、クリスタルの様な洗練された果実味に魅了される。ブラインドで飲んだらピュリニー・モンラッシェかなと思わせるほど。ミネラルの芯がしっかりある白ワインが好きな方にはお薦めの1本。白/1級畑