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ニュイ・サン・ジョルジュ2012(ジャン・ルイ・ライヤール)

【ジャン・ルイ・ライヤール】
日本のブルゴーニュ・ファンの間では知る人ぞ知る存在、ジャン・ルイ・ライヤール。このドメーヌを紹介する時に必ず出てくるキーワードがロマネ・コンティ(以下DRC)だ。何しろインポーターのコピーが下記のように大仰である。

「ロマネ・コンティの神髄の全てを継承した男。DRCで生まれ、DRCで育った男が造る幻のブルゴーニュ」

ジャン・ルイ・ライヤールの母親はロマネ・コンティの社員として40年間勤務し、父親は37年間勤務した。栽培を担当しロマネ・コンティのブドウの摘み取りを任せられていた優秀な人物であった。DRCで働く夫婦の子として育ったジャ・ルイ・ライヤールは子供の頃から両親の仕事を目の当たりにした。自宅もDRCのセラーの裏だった。幼少の頃からDRCのワイン造りが身近なものだったのは間違いないだろう。
ライヤール自身もDRCの社員として働き、その後いくつかのネゴシアンで研鑚を積み、現在はボーヌの醸造学校で教鞭をとる傍ら自らのドメーヌでワイン造りを行っている。余談ではあるがDRCのオーナー、オベール・ド・ヴィレーヌからの直々の依頼を受け、2000年、DRCに馬による畑の耕作を復活させたのがジャン・ルイ・ライヤールである。

●有機栽培(完全なビオディナミへ現在転換中)
●馬による耕作
●遅い収穫、低収量
●非除梗で醸造(ブルゴーニュ・ルージュのみ除梗)
●高温による発酵
●澱引き回避
●無清澄、無濾過
●ポンプを使わず重力を利用した瓶詰め
とDRCの栽培、醸造法をベースにしてワイン造りを行っている。

 そして特筆すべきは非常に生産量が少ないこと、所有する畑は僅か3.5ha。しかしその半分以上は長期の賃借契約で貸し出されている。ドメーヌ用に栽培している畑は1.32haと言う少なさ。造られているキュヴェはブルゴーニュ・ルージュ、ニュイ・サン・ジョルジュ、ヴォーヌ・ロマネ、ヴォーヌ・ロマネ・レ・ボーモンの4つのみ。年間平均総生産量は7000本前後という超ミクロ・ドメーヌ。ほとんどが顧客や馴染みのレストランに販売される。

 以上の様な経緯からインポーターが大仰なコピーを付けたがる気持ちもわかる。だが問題は中身である。

【前ヴィンテージ2011年の試飲記録】
今でもブルゴーニュの醸造で賛否両論、議論百出となるのが除梗をするか、しないかである。除梗派の匠と言えばアンリ・ジャイエ、非除梗派の匠と言えばDRCとなる。当然ジャン・ルイ・ライヤールは後者。個人的な試飲経験からいくと今まで除梗をしていないワインは色調が濃く、果実味、タンニンを強く感じる物が多かった。

 で、ジャン・ルイ・ライヤールのヴォーヌ・ロマネ2011をグラスに注いで驚いた。濃い色調を予想していたのだが見事に裏切られた。色調は薄く澄んでいる。情報がなかったら間違いなく除梗して醸造したワインだと思っただろう。グラスからチェリー、ラズベリー、アセロラなど赤い果実のチャーミングな香りが溢れかえる。想像していた熟した黒い果実の香りではない。口中に含むとエレガントでほのかに甘い果実味がレースのように繊細に広がる。濃密な熟した果実味ではなく、フレッシュな果実の旨みを閉じ込めたような感じ。杯を重ねるごとに身体に沁み込んでいく繊細で優美なワインだ。

ジャイエは生前除梗する理由をこう述べていた。「果梗が十分に熟することはめったない。通常は収斂味が強く、とげとげしいタンニンしか含まれてないから」と。一方、ジャン・ルイ・ライヤールの主張は「果梗から得られるタンニンは、種から得られるタンニンと異なり、補完することでより複雑なアロマとなる。そのために果梗がしっかりと熟すのを確かめて収穫する」と。
 果梗がしっかりと熟していればこれだけ繊細なワインに仕上がるという証明だろうか。とげとげしいタンニンなど皆無、今飲んでも十分楽しめる。これだけしなやかなワインは、数年後はどう熟成するのか非常に興味がある。一つはっきりしているのはDRC云々というエピソードなど関係なく、試してみる価値のあるワインだと思う。(2013年4月上旬試飲)

【ニュイ・サン・ジョルジュ】
このキュヴェはニュイ・サン・ジョルジュの4つの畑、レ・フルリエール、レ・シャルモワ、レ・ゼルビュ、レ・サン・ジュリアンをブレンドして造られる。4つの畑の平均樹齢は68年を超える古樹。2012年ヴィンテージは9月28日にブドウを収穫。手摘みで収穫したブドウを畑とセラーで2度にわたって選果した後、除梗は行わず自然酵母のみで発酵。発酵期間は7日間で、引き続き5日間の果皮浸漬を施す。キュヴェゾンの期間は14日間。その後、シリュグ社製の木目の細かいアリエ産のバリックで熟成。熟成中はシュール・リーの状態となる。2012年産の新樽比率は60%で、熟成期間14カ月。熟成中に澱引きは行わず、瓶詰めの約1カ月前の高気圧の時期を見計って1回のみ澱引きを施し、無清澄、ノンフィルタービン詰め。2012年の総生産量は1586本。

  • ニュイ・サン・ジョルジュ2012(ジャン・ルイ・ライヤール)

  • 販売価格

    5,093円(税込)

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