【トマ・モレ】
シャサーニュ村を代表する名手、ベルナール・モレの息子、トマ・モレ。兄ヴァンサンと共に父からワイン造りを学んだ。兄ヴァンサンはブルゴーニュを離れず、ずっと父の元でワイン造りを学んだのに対し、弟トマは父から学んだワイン造りにさらなる可能性を求めてカリフォルニアなどのワイナリーで研鑚を積み、最新の醸造技術などを習得しブルゴーニュに帰ってきた。
帰国したトマにいち早く声をかけたのはロマネ・コンティ(以下DRC)の当主オベール・ド・ヴィレーヌだった。彼はトマの卓越した感性と才能に着目し、DRCのモンラッシェの栽培責任者を依頼した。同時期に父ベルナール・モレは引退を表明し、畑は兄ヴァンサンと分割相続し、ドメーヌ・トマ・モレもスタートさせる。2007年から2009年の3年間DRCと自らのドメーヌで、その才能を遺憾なく発揮させた。しかし残念ながらドメーヌの仕事が忙しくなりDRCの仕事を3年で辞任することになった。だがDRCでの3年間はトマにとって大きな経験となり、醸造家としてさらなる深化を遂げた。
天才肌の彼が造るワインは伝統的な造りと最新技術を掛け合わせたモダンなスタイルで、フィネスを感じる逸品。DRCが目を付けたその手腕は近い将来、父親を超えるブルゴーニュのスーパースターになるであろうと予感させる。
畑は2011年から完全にビオロジックに移行。さらに一部はDRC時代に実践していた栽培方法と同じビオディナミに移行している。現在ビオディナミになっている畑は「バタール・モンラッシェ」、シャサーニュのプルミエ・クリュは「ダン・ド・シアン」「ヴィデ・ブルス」「モルジョ」「アンブラゼ」、ピュリニーのプルミエ・クリュ「トリュフィエール」など。今後もビオロジックからビオディナミへ移行していく予定だ。秀逸な仕上がりとなった注目の2014年ヴィンテージ。
【シャサーニュ・モンラシェ・ヴィデ・ブルス】
ヴィデ・ブルスはバタール・モンラッシェに隣接する非常に小さい区画(ドメーヌの所有面積0.2ha)。ドメーヌのプルミエ・クリュの中では1、2を争う人気キュヴェ。植樹されたのは非常に古く、はっきりとした年代は不明だが1940年代初頭だと考えられる。ライムやメントール、アニスなどクールで清涼感のある香りと鉱物の筋肉質の香りが印象的。果実味豊かできめが細かく、柑橘類やペッパーの香り複雑味を与え、グラン・クリュに迫る力強いワインに仕上がる。長熟で20年前後の熟成も期待できる逸品。