【ゴッセ】
シャンパーニュファンには説明不要の老舗、ゴッセ。1584年シャパーニュ地区アイ市の副市長だったピエール・ゴッセによって設立された。シャンパーニュ最古の造り手の一人としても知られる。昔ながらの伝統的醸造法を今も踏襲し、マロラクティック発酵は行わない。よってフレッシュで活き活きとした酸が最大の特徴となる。この酸を馴染ませるために最低でも36ヶ月、長いものでは120ヶ月以上の熟成を行う(ちなみにシャンパーニュの法定熟成期間は15ヶ月)。清澄、澱引きは、キュヴェをタンクに移し替える時のみに行う。熟成中のルミュアージュ(動瓶)は機械ではなく、全て熟練した職人が手作業で行う。さらにラベル貼り、箱詰め、パレット積みまで手作業だという。これだけの規模のメゾンで機械を使わず全て手作業と言うのは現在では異例。それらの妥協を許さないメゾンの姿勢から造られるワインはワインアドヴォケイト、ワインスペクテーター、デキャンターなど数多の専門誌から賞賛されているのは周知のこと。
【グラン・レゼルヴ・ブリュット】
このグラン・レゼルヴ・ブリュットは、ゴッセのスタイルを最も忠実に表現したシャンパーニュと評される。アイ、アンボネイなど特級畑のブドウを主体に1級畑のブドウをブレンド。収穫されたブドウは品種、村、区画ごとに細かく分けてプレス。「ブドウは信頼できる栽培家から購入しているので、ワイン造りの半分はすでにこの時点で成功している」と醸造長のジャン・ピエール・マルネは自負するほど、ブドウは厳選されている。ピノ・ノワール45%、シャルドネ45%、ピノ・ムニエ10%。最低36カ月以上の瓶内熟成を行うが、このキュヴェの平均熟成期間は60カ月だという。ピノ・ノワールが上質な果実味、シャルドネが爽やかさを与え、ピノ・ムニエが隠し味となりエレガントでミネラル感のあるアフターを演出している。ゴッセのスタイルを知るには最適なコストパフォーマンス溢れる1本。白/ACシャンパーニュ/ネゴシアン・マニプラン
【試飲】
いつも安定感ある旨さを誇るゴッセのグラン・レゼルヴ。今回のロットも然りだ。フレッシュな果実味と酸がバランスよく口中に広がる。フレンチは勿論だが和食にも合わせやすいバランス感は秀逸。圧倒的なインパクトはないが、物足らなさを感じさせることはない。変な例えだが、名脇役のようなシャンパーニュ。シャンパーニュのみでも楽しめるし、食事を引き立たせることもできる。飲む者の期待を裏切らない盤石の1本。(20323年11月中旬試飲)