【ドノン】
ドノンはダヴィ・ドノン率いるメゾン。シャンパーニュの南端コート・デ・バールに位置する。シャブリに近いため、シャブリと同様のキンメリジャン土壌を活かしたワイン造りで、全てのキュヴェはブルゴーニュと同様に木樽で発酵、熟成される。
「素晴しいシャンパーニュを造るには、まず素晴らしいワインを造らなくてはならない。2次発酵前には飲むことが出来ず、泡で誤魔化された中身の無いシャンパーニュは嫌いだ」と語るダヴィ・ドノン。
醸造所は携帯電話も通じないアヴィレ・ランジェ村。住人は200人ほどでまわりは麦畑と放牧が主。ドノンはこの地域に2haを所有。更に、同じ理念を持つ近隣の造り手よりブドウを購入し、年5000ケースのみ生産している。
収穫は遅く、ゆっくりと成熟させることでブドウは糖度と共にタンニンやアントシアニン、香味成分をたくわえる。発酵、熟成に使用されるのは全て古バリックでフランソワ・フレールなどの一流どころ。これらの古樽は某有名生産者がピュリニー・モンラッシェで5年使用したものを購入。その年のブドウの出来によっては一部ステンレスタンクを使用する場合もあるが、リザーブワインも含めて基本は全てバリックで熟成している。
全てのキュヴェにおいて最低24カ月以上のビン内2次発酵を行う。そしてデゴルジュマン後は最低12カ月以上置いてから出荷する。熟成の期間は一定では無く、試飲を重ね熟成の具合がバランスをとれた時点で出荷する。
そんな彼のシャンパーニュをワインアドヴォケイトではこう紹介している。
「ダヴィ・ドノンは、コート・デ・バールにおける非常に興味深い生産者の一人である。ワインは、主にピュリニー・モンラッシェの古樽で発酵され、熟成される。出来上がったキュヴェは、豊かな質感でバランスのとれたシャンパーニュとなり、キンメリジャンの土壌が豊潤な果実味にヒンヤリとした力強さを与えている」
【シャンパーニュ・レコルト・ローズ】
ピノ・ノワール95%(白)、ピノ・ムニエ5%(赤)。バールの完熟したピノ・ノワールをコカールでプレス。ピノ・ムニエは3日間マセラシオンし、品種毎に古バリックで発酵、熟成。24カ月以上シュール・リーで瓶内熟成。キンメリジャンのピノ・ノワールの大きな骨格にピノ・ムニエの赤ワインが胡椒やジンジャーのようなスパイス感を与える。ドサージュ5g/L。今回入荷のロットはデゴルジュマン2020年10月16日。
【試飲】
フルートグラスに注ぐと泡立ちよく薄いピンク色が輝く。サクランボ、イチゴ、アセロラなどのフレッシュな果実香が立ち上がる。口中で最初のアタックは非常にまろやか。タンニンを感じることなく丸い果実味が広がっていく。ロゼというより白かなと感じてしまうほど。だがアフターにエレガントなタンニンが顔を表す。このタンニンが絶妙なアクセントとなる限りなく白に近いロゼ。バランスの良いミディアムボディなので魚介類や白身の肉などの食中酒としてもいいだろう。飲み残したのを翌日飲んだが、ポテンシャルは変わらなかった。しかしタンニンは前日よりも強く感じ、よりロゼらしくなった。飾り気のないピュアな1本。(2022年5月上旬試飲)