【ドラピエ】
ピュアな果実味を追求する自然派シャンパーニュ、ドラピエ。創業は1808年でシャンパーニュの南端のオーヴ県ウルヴィル村に居を構える。他の大手とは異なり、現在まで常に家族経営を続けている稀有なメゾン。現当主ミシェルで8代目。所有する畑は53ha。メゾンの転機となったのは1989年。長女の誕生をきっかけに農薬の使用を一切やめ有機栽培に切り替えた。だがその道程は容易ではなかった。化学肥料から堆肥への切り替え、農薬の不使用によって病気、害虫被害が一気に増え、一時は30%も収量は落ち込んだという。しかし、この土地のポテンシャルを信じ、試行錯誤を繰り返した結果、現在では無農薬で活力に満ちた最上のブドウを栽培している。
メゾンのあるウルヴィル村周辺はジュラ紀からの石灰石土壌が広がり、ピノ・ノワールには最適な土地。よってドラピエはスタンダードなキュヴェから全てピノ・ノワールが主体となっている。またドサージュの少なさもこのメゾンの特徴。どのキュヴェもドサージュの量が非常に少ない。たとえばブリュットでは15g/Lまで許されているが、スタンダードキュヴェのカルト・ドール・ブリュットのドサージュは6~7g/L。これはブドウの品質に絶対の自信を持っているからだと言う。しかもドサージュに使われるのは25年間樽熟成されたリキュール。長期樽熟成することで全ての旨みが染み込みナチュラルな甘味に変化し、ピノ・ノワールと抜群の相性になるという。また亜硫酸(SO2)の使用量も通常100mg/L程度使われているのに対して35mg/Lまでに抑えている。そんなドラピエの自然派シャンパーニュは故マルセル・ラピエール、フィリップ・パカレ、ジャック・セロスと言った自然派の名匠たちも愛飲している。
収穫されたブドウは小分けにし、出来る限り短時間でタンクに運ぶ。圧搾はポンプを使わずブドウの自然の重みでプレスされた1番絞りのみを使用。18度を基本とした完全な温度管理の下、自然酵母でゆっくりと発酵。酸素を遮断するため圧搾機を発酵層の真上に設置したグラヴィティシステムによりSO2無しでも果汁はバクテリアに侵されること無く醸造される。出来上がったワインはナチュラルな果実味を満喫できるピュア一献となる。
【グラン・サンドレ・ロゼ2010】
ドラピエのトップ・キュヴェ。1838年ウルヴィル村の大火で焼灰に覆われた区画、グラン・サンドレのブドウを使用して造られるロゼ。グラン・サンドレのピノ・ノワール92%、クラマンとモンターニュ・ド・ランスシャルドネ8%。グラン・サンドレの区画は樹齢が高く、真南を向いているので特に品質の高いピノ・ノワールが収穫される。35%は樽熟成。25年間大樽で熟成させたリキュールを5g/L 添加。今回入荷のロットは2022年4月デゴルジュマン。
複雑なブーケにストロベリーとグーズベリーの香りが溢れる。口に含むとピュアでエレガントの果実味が優雅に舞い、長いアフターに魅了される一献。
注:ワインアドヴォケイト、ヴィノスともセパージュの比率などが違っているが、メゾンのホームページのテクニカル情報を表記した。
★ワインアドヴォケイト 94点
飲み頃:2023~2040年
With a dosage of 4.3 grams per liter, the 2010 Brut Rosé Grande Sendrée is a blend of 80% Pinot Noir and 20% Chardonnay. It offers up a distinctive, complex bouquet of guava, strawberries, rhubarb, wild plums and spices. Medium to full-bodied, vinous and structured, it’s layered with an enveloping core of fruit and an exotic finish.(Wine Advocate Published: Nov 17, 2023)
★ワインスペクテーター 94点
飲み頃:2022~2035年
Expressive notes of steeped raspberry and cherry fruit pull you into the glass of this vivacious rosé Champagne, riding the satiny mousse and layered with accents of mandarin orange peel, dried thyme and biscuit. A vinous version, with the finely knit flavors underscored by a streak of tangy mineral that drives through the spiced finish. Drink now through 2030. (Wine Spectator Issue:Nov 30,2020)
★ヴィノス 94点
飲み頃:2023~2035年
The 2010 Extra Brut Rosé Grande Sendrée is a blend of 85% rosé de saignée and 15% Chardonnay, partly aged in large foudre, picked in a single vineyard in Urville. Creaminess on the nose holds notions of blood orange peel and beautiful pepper spice with clove overtones. That same creaminess unites lemon, panettone and tart apple flavors on the palate, but sprightly mousse adds a driven, energetic freshness. The result is a combination of richness, spice, aromatic citrus and brightness with substance and length. Lovely. Dosage is 5gr/L. Disgorged: April, 2022. (Anne Krebiehl MW - By Antonio Galloni on October 2023)