【ピエルソン・キュヴリエ】
シャンパーニュのグラン・クリュの村は17。ブージィ、アンボネイ、ヴェルズネイなどの単一村のキュヴェはよく見るが、日本でほとんど見ることのない幻とも言える存在の単一村が2~3ある。その中の一つがモンターニュ・ド・ランスのルーヴォワ。ピエルソン・キュヴリエはそのルーヴォワに居を構えるレコルタン・マニプラン。
設立は1901年。数か所のグラン・クリュとモンターニュ・ランスにプルミエ・クリュを11ヘクタール所有している。しかし自家詰めに使用するのはブージィ、アンボネイ、ルーヴォワ、アイのグラン・クリュ(4.5ha)のみ。プルミエ・クリュのブドウはドゥーツなどのメゾンに売却してしまう。畑の全てはリュット・レゾネを採用。特筆すべきは幻かと思われるルーヴォワ産100%のブドウで造られるミレジム・シャンパーニュ。おそらく日本で入手できるルーヴォワ産100%のヴィンテージ・シャンパーニュはこのキュヴェのみではないだろうか。
そんな彼らのシャンパーニュは仏のワイン専門ガイド【アシェット】に全キュヴェをエントリーしたところ、全てのキュヴェが賞を受賞。翌日から問い合わせの電話が鳴りやまず仕事にならなかったという。それに懲りて今は1つのキュヴェしかエントリーしないという。
現在ピエルソン・キュヴリエはランスの2つ星レストラン、クレイエールを筆頭に多数の星付きレストンにオンリストされている。バラス良く果実味豊かなブラン・ド・ノワールは価格も良心的。ルーヴォワの知らざる個性を堪能できる掘り出し物。
【ブラン・ド・ノワール・ミレジム・グラン・クリュ・ブリュット】
幻とも言えるルーヴォワ産100%のピノ・ノワールで造られるブラン・ド・ノワール。おそらく日本で味わえるルーヴォワ産100%のヴィンテージ・シャンパーニュはこれだけではないだろうか。1/3は樽で1次発酵とマロラクティック醗酵を行う。1/3はステンレスタンクで1次発酵、樽でマロラクティック醗酵行う。1/3はステンレスタンクで1次発酵とマロラクティック醗酵を行う。この3つを一つの樽に移し替えブレンドしビン内2次発酵させる。ビン熟5年で年産約2000本。当たり年の2019年。
白/特級畑/レコルタン・マニプラン
【試飲】
グラスに注ぐと奇麗で力強い泡が立ち上がる。熟した柑橘系果実、ハーブ、ミネラル、ハチミツの香りが漂う。フレッシュな酸と旨味ある果実味が口中でバランスよく広がる。アフターには熟成感ある果実味がエレガントに残る。ブラン・ド・ノワールらしい力強さはあるが、全体像は非常にエレガントにまとまっている。このキュヴェは2012年、2013年、2015年と試飲しているがいつもコストパフォーマンスに長けている。この2019年の然りだ。ルーヴォワ産のピノ・ノワールの魅力を感じる1本。(2024年11月中旬試飲)