【アンペレイア】
トレンティーノを代表する造り手、フォラドリ。当主のエリザベッタ・フォラドリはテロルデゴ種の偉大さを全世界に知らしめた醸造家。その彼女が新たなワイン造りを求めてたどり着いた理想郷がアンペレイアだった。
アンペレイアはトスカーナ州マレンマの外れの町、ロッカテデリギに2002年に設立された。50年代までは鉱山で栄えていたが、閉山後町は寂れ過疎化が進んだ。しかしミネラルが豊富な地で、歴史的にも1度も開墾されていなかったので自然環境が完全に保たれていて、町の周りは全て森。エリザベッタにとってまさに理想の地だった。そこには1軒しかワイナリーはなく、60年代から羊と鳩の飼育、古代小麦の栽培と少しだけワインも造っていたメレーナ荘園を友人と購入した。
そこで70年代から栽培されていたのがカベルネ・フラン。樹齢が高く、このテロワールと非常に相性が良かったためこの品種は残した。開墾されていた畑は標高が高く、粘土主体のガレストロ土壌(石灰質を帯びた粘土の瓦礫土壌)でブドウ栽培には最適であった。畑は標高450~600mと高地なのでゆっくりと果実の熟成が進み、根が地中深くまで伸びていた。
2002年から標高300mの中部と200mの下部を開墾し畑を造っていった。上部、中部、下部と土壌も気候も違うので上部にはそのままカベルネ・フラン、中部にはサンジョヴェーゼ、カリニャン、アリカンテ、下部にはグルナッシュを植樹した。まわりは全て森なので自然の中にブドウが共存している状態だ。しかもDOCではないのでワイン造りに制限もない。エリザベッタが理想とする生物多様性が完全に守られた環境である。
35haの畑は全てビオディナミで栽培。収穫からボトリングまで全てが手作業で造られる。アンペレイアの理想は力強さよりも馴染んだ優しい味わいを感じ、偉大なワインではなく、シルクのようなワイン。「色々なワインを経験した人が最後に飲みたくなるのは凄いワインではない。染み込むように気楽に飲めるけど、味わいの深く複雑なワインだ」と彼らは語る。アンペレイアのワインはナチュラルな果実味に魅了される滋味深い一献となる。
【トスカーナ・カベルネ・フラン】
アンペレイア・ソプラの一部である標高500mのヴィーニャ・デッラ・アジーナ(ロバの畑の意)のカベルネ・フランのみを使用。この畑は粘土質にシスト土壌が多く混じり石灰含有率が他の畑よりも異常に高いので個別に醸造することなった。初ヴィンテージは2014年。10月に収穫。全房15%でセメントタンク発酵後、セメントタンクで10カ月間熟成。赤/IGT /トスカーナ
ヴィノス評を抜粋すると以下の通り。
「2021年のカベルネ・フランは、茎をふんだんに使うことで、風味を強調したスタイルで造られた、奇麗でフルーティーな赤である。ミディアムボディで香り高いこのカベルネ・フランは、マレンマというよりロワール(のワイン)に近い。ダークチェリー、ジビエ、バラの花びら、ドライハーブが明るくフィニッシュに残る。ワインは少し空気に触れさせると開いていく」
★ヴィノス 93点
飲み頃:2023~2031年
The 2021 Cabernet Franc is a pretty, fruity red done in a style that emphasizes savoriness, thanks to the generous use of stems. This mid-weight, fragrant Franc is more Loire Valley than Maremma. Dark cherry, game, rose petals and dried herbs linger on the bright finish. Give it a good bit of air to open.(By Antonio Galloni on August 2023)
★ワインアドヴォケイト 91点
飲み頃:2022~2026年
The Ampeleia 2021 Cabernet Franc shows those special winemaking aromas that come from fermentation and skin contact. They give this wine a truthful and variety-driven personality. The fruit is front and center and there are no extra bells and whistles. Dark cherry is followed by potting soils and tobacco leaf.(Wine Advocate Published: Jun 23, 2023)
*商品到着から1週間前後静かに置いてからの抜栓をお薦めします。