ワイナリーの設立は1978年と比較的新しいが、イタリアワイン・ファンには説明不要のバローロを代表する名手、ルチアーノ・サンドローネ。看板ワインのバローロ・カンヌビ・ボスキス(アレステ)は人気漫画【神の雫】の第六の使徒として登場し、話題になった。サンドローネのワインはエレガントで傑出したバランスを持った垂涎の美酒!
*2023年1月5日ルチアーノ・サンドローネは死去した。享年76歳。現在は弟のルカ、娘のバーバラを中心に孫のアレッシアとステファノがワイナリーを継承している。
【ルチアーノ・サンドローネ】
元々はマルケージ・ディ・バローロなどに勤めていたルチアーノ・サンドローネだが、カンヌビ・ボスキスの畑を購入するチャンスが突然訪れ、1978年に自らのワイナリーを設立した。80年代中頃から専門誌などで高い評価を得るようになり、現在の評価は周知の通り。
サンドローネは畑仕事に力を注ぎ、農薬などの人為的な処理や作業は最小限に抑え、有機肥料による自然農法でブドウの力を最大限に引き出す栽培を心掛けている。造り出される全てのワインは固有の土壌、ミクロクリマ、酵母を持つ個々のテロワール(区画)を見事に表現していると評されている。造られているワインは単一畑のバローロ・カンヌビ・ボスキス、4カ所の畑のブレンドで造るバローロ・レ・ヴィーニェ。そしてロエロ地区の樹齢の高いネッビオーロから造られるネッビオーロ・ダルバ・ヴァルマジオーレ。さらにバルベーラやドルチェットなどどれも傑出したワインを生んでいる。
【2019年ヴインテージ】
冬の終わりと春の初めに雨が多く降り地下水は満たされました。芽吹きは通常より遅い3月下旬。開花後6月下旬に10日間にわたって暑い日が続き、結実を助けました。その後、成長期はヴェレゾン(果皮の変色)直前に適度に暑い日が10日間続いた以外は平年より冷涼だった。夏を通して断続的に降った雨により、ブドウや畑の植物がリフレッシュされた。9月5日にはバローロとバルバレスコの一部の畑に豪雨と雹が降りましたが、幸いにも私達の畑には影響はありませんでした。9月6日から収穫日まで日中は暖かく乾燥し、夜は涼しくさわやかな気候となり、完璧な天候に恵まれた。ネッビオーロは耐性があるブドウでこのシーズンの天候に適応することが出来ました。結果、果実味と酸の完璧なバランスを持ったブドウを収穫できました。
【バローロ・レ・ヴィーニェ】
ワイナリーの2枚看板の一つレ・ヴィーニェ。このバローロは異なる4つの畑のブドウで造られる。セッラルンガ・ダルバ村のバウダーナ、カスティリオーネ・ファレット村のヴィレロ、バローロ村のヴィニャーネ。畑ごとに醸造し個々のキュヴェのポテンシャルを見極めてブレンド。標高、土壌など異なる4つ畑の相乗作用によって複雑で奥行き深いワインに仕上がる。アレステ(カヌンビ・ボスキス)より高評価になることも多々ある。ルチアーノ・サンドローネの魔法のような絶妙なブレンドで飲む者を魅了するバローロの銘酒。
初ヴィンテージは1990年。ステンレス・タンクで発酵、500リットルのフレンチオークでマロラクティック発酵&24ヶ月熟成。新樽率25%。その後18カ月以上の瓶熟を経てリリース。近年カンヌビ・ボスキスより高評価されることが多いレ・ヴィーニェだが、2010年のヴィンテージではヴィノスのアントニオ・ガッローニ(元ワインアドヴォケイト副編集長)が100点をつけたほど。2016年ヴィンテージはワインアドヴォケイトで初の100点を獲得した。
2019年のレ・ヴィーニェは10月8日~18日に収穫が行われた。ダークフルーツ、スパイス、甘草、スミレの香りに満ちている。今はまだ閉じているのでこのワインを飲むには少し時間が必要(飲み頃は2026年以降)。ポテンシャルは高く、複雑でしっかりとした骨格で20年以上の熟成が約束されている。アフターは途方もなく長い。
飲み頃:2026~2046年(ルチアーノ・サンドローネ)
★ワインアドヴォケイト 97点+
飲み頃:2025~2055年
The 2019 Barolo Le Vigne is a historic blend of fruit from Baudana in Serralunga d'Alba, Villero in Castiglione Falletto, Vignane in Barolo and Merli in Novello. This year, a fifth site was added to the final blend. It is the Le Coste MGA in Barolo with south-facing exposures and 45-year-old vines in a two-hectare parcel. The backbone of this wine is Baudana, and Merli adds freshness. The wine needs more time in bottle, but already it proves generous and bold with dark fruit, spice and crushed mineral. (Wine Advocate Published: Aug 25, 2023)
★ワインスペクテーター 95点
飲み頃:2027~2047年
A tightly wound red, with floral, cherry, iron, earth and underbrush aromas and flavors. Beefy, with the vintage's characteristic austerity and a strong grip on the finish. The tannins lend a compact feel in the end, yet this stretches out on the finish, with a core of pure fruit. Best from 2027 through 2047. (Wine Spectator Issue Dec 31,2023)
★ヴィノス 97点
飲み頃:2029~2049年
The 2019 Barolo Le Vigne is pure and total seduction. Kirsch, sweet pipe tobacco, mint, cedar, dried herbs and orange peel all grace a Le Vigne built on mid-weight structure and energy. There is a feeling of youthful classicism and austerity that is so beguiling. Readers should plan on being patient, though. The 2019 won't be ready to drink anytime soon, but there is enough fruit to make me think it will be superb, in time.(By Antonio Galloni on November 2022)