【ジーニ】
３大ソアヴェの一つに数えられる老舗のジーニ。1700年代からモンテフォルテでブドウ栽培農家としてガルガネガを栽培してきた。ソアヴェ・クラシコの中心部に35haの畑を所有しているが、最も新しい畑でも60年前に取得したもの。現当主のクラウディオの代になって20年以上1度も新しい苗木を植樹したことがない。よって最も若い畑でも平均樹齢は60年を越えており、古い畑は樹齢110年以上の古樹もあるという。勿論、フィロキセラに侵されてない自根である。畑では化学薬品は勿論、有機肥料さえ使用されない。豆類や雑草を掻き込むことにより、数年に1度耕すことで土壌を維持している。また醸造では1985年以降、醸造時のSO2は使用されていない。瓶詰め時には添加されるが、通常の造り手の1/20程度である。
 
ソアヴェを理解する上で最も重要なことは1960年代に行われた生産地域の拡大である。元々900ha以下だったソアヴェの生産地域は約8倍の7000haまで拡大されてしまった。ジーニの畑は拡大前900haのソアヴェ・クラシコの中心部に位置する。この地域は火山岩土壌であるが、拡大された地域は堆積土壌で赤く重たい粘土であり、火山岩は全く無い。当主のクラウディオはこう語る。「ソアヴェはエトナと同じ火山岩土壌から生まれるワイン。軽くてフルーティーというのは本来のソアヴェではない。本来のソアヴェはミネラルが主体で長熟である」
ワイン評論家のマット・クレイマーは「MAKING SENCE OF ITALIAN WINE」（2006年発行）でジーニをこう評している。
「強烈なワインを生む造り手だ。ガルガネガ100％で造るソアヴェ・クラシコは品質が高いが、造り手の主張もまた強い」
生粋の伝統派ソアヴェの造り手ジーニ。本当の伝統的なソアヴェ・クラシコを堪能したい人にお勧めである。
 
【ソアヴェ・クラシコ・ラ・フロスカ】
ワイナリーを代表するする畑が「サルヴァレンツァ」とこの「ラ・フロスカ」。平均樹齢は65～70年と古樹から造られる。5つの区画に分かれおり、火山岩土壌だが、掘り進むと石灰質層が現れるのが特徴。区画ごとに収穫、醸造し、状態を見ながら良い物だけをブレンドする。手摘みで収穫後、ソフトプレス。ステンレスタンクで発酵（一部は仏産のオーク樽で発酵）、ステンレスタンクとオーク樽で最低８カ月はシュール・リー。全ての要素が強いがワインは高い次元で調和することで突出したものがなく絶妙なバランスを保っている。凝縮度も高く、火山岩特有のミネラルが最も楽しめるキュヴェ。
 
ヴィノス評を要約すると以下の通り。
「蜂蜜のようなフローラル、挽いたジンジャー、そしてスモークの香りが漂う。シルキーなテクスチャーで心を落ち着かせ、活き活きとした緊張感ある酸味に、ミネラルを帯びた果実味が滝のように流れる。とても凝縮感がある。石灰質のミネラルを感じ、軽やかな骨格のある仕上がり。このラ・フロスカが完全に花開くまでにはまだ時間がかかりそうだが、ポテンシャルは非常に高い」

【試飲】
グラスからハチミツ、レモン、ミネラルの香りが漂う。芯のあるしっかりとした酸とミネラルが骨格となり、フレッシュで凝縮感ある果実味が口中に広がる。ソアヴェ地区のガルガネガは収量を抑えれば、キリッとした辛口でシャブリを彷彿させるミネラル感を伴うワインに仕上がると言われているが、まさにその通り。ブラインドで飲んだら上質なシャブリのプルミエ・クリュかと思うほど。酸、ミネラル、果実味がバランスよく3拍子揃った1本。魚介類は勿論、さっぱりとした夏の食材にも合わせやすいだろう。（2024年8月上旬試飲）
 
★ヴィノス　93点
飲み頃：2023～2033年
The 2019 Soave Classico La Froscå wafts up with honeyed florals, ground ginger and hints of smoke. This soothes with its silky textures, while nervous acidity enlivens the experience and adds a cascading sensation to its mineral-tinged orchard fruits. There's so much concentration here. It leaves the palate caked in chalky minerals while finishing lightly structured. This zesty rendition of La Frosca will take some time to fully blossom, but it's packed full of potential.（By Eric Guido on February 2022）