バローロで初めて有機栽培を導入した造り手カヴァロット。五代続く老舗のワイナリーだが、2000年代初頭から評価が急上昇し、古典派バローロを代表する造り手である。中でもモノポールの畑、ブリッコ・ボスキスから造られるワインはいつも白眉の仕上がりでバローロを代表する銘酒である。

【カヴァロット】
 カヴァロットは1948年から５世代に渡る老舗のワイナリー。モダンなバローロが人気の中、あえてクラシックなバローロにこだわる名手の一人。現当主のジュゼッペ氏は偏屈者として地元では有名だという。そんな彼のワイナリーはモノポールのブリッコ・ボスキスの丘の上部に位置し、畑が醸造所を取り囲んでいる。ブリッコ・ボスキスはカスティリオーネ・ファレットを代表する畑で周辺の造り手達も羨む好立地。

　栽培法として摘果は行わない。摘果を行えば凝縮感は出せるが、それはカヴァロットのスタイルではないと判断しているからだ。農薬も使われないし、除草剤も一切使用しない。自生する雑草をある程度まで生やし、ある一定の高さまで育つと手作業で刈りとり、そのまま畑を耕すことなく放置しておくという不耕起栽培を実践している。ちなみにバローロで初めて有機栽培を導入したのはカヴァロットだ。

　セラー内の仕事は昔と変りなく伝統的なスロヴェニア産の大樽でゆっくりと熟成される。カヴァロットのワインを端的に表すなら「力強い酒質」である。今では珍しくなった古典的なバローロのスタイルだが、近年はそのスタイルに洗練さが加味され、2000年代初頭から評価は急上昇している。
 
【バローロ・ブリッコ・ボスキス】
現在3種類のバローロが造られているが、看板ワインがこのキュヴェ。1928年からモノポールとなったブリッコ・ボスキスの畑から造られ、今やバローロを代表する銘酒。バローロで初めて有機栽培が導入された畑でもある。
 
2019年は10月14～18日に収穫が行われた。区画ごとに醸造しブレンド。熟成には20hl～100hlの様々な大きさのスロヴォニアン産の樽で36カ月間熟成。2023年3月1日にビン詰めされた。ビン詰め後、半年以上休ませてからリリース。秀逸な仕上がりで2019年を代表するバローロの一つ。
 
★ワインアドヴォケイト　95点
飲み頃：2025～2044年
This estate is certainly the most prolific interpreter of the hilltop Bricco Boschis MGA in Castiglione Falletto. The Cavallotto 2019 Barolo Bricco Boschis (a certified organic wine) would benefit from more time in the bottle. I encountered many Barolos in 2019 that reveal a slightly reductive approach that bodes well for long cellaring. This wine is characterized by velvety black fruit that is framed by dusty nuances of crushed limestone. It builds focus and precision with more time in the glass. Some 18,800 bottles were released.(Wine Advocate Published: Aug 25, 2023)
 
★ワインスペクテーター　94点
飲み頃：2026～2045年
Expressive and complex, offering cherry, raspberry, floral, iron, tar and eucalyptus aromas and flavors. Shows a silky texture and a vibrant, well-integrated structure. Harmonious overall, lingering with generous detail on the finish. Best from 2026 through 2045.(Wine Spectator Issue: Nov 30, 2023)