【ユエ】
ヴーヴレ最高峰の造り手であり、ロワールを代表する伝説的名匠、ユエ。世界中のワイン関係者が賞賛するまさに「ヴーヴレの神様」的存在。所有する畑は以下の3つ。
●ル・モン
最もロワール川に近い畑で、表土は薄くシレックスを含む緑色粘土質土壌。石灰層の下30mまで根が伸びている。この畑のワインは柔らかさと軽やかさを持つ。
●ル・オー・リュー
粘土質が強く出ている特徴的な畑。褐色粘土の粘土石灰質が30mの深さまで続く。この畑のワインはねっとりとした質感でやや重く、丸い味わいが特徴。
●ル・クロ・デュ・ブール
西側は塀で囲まれた歴史的に重要な畑。ヴーヴレ教会の目の前の畑で表土は僅か10cm。その下は厚い石灰岩盤。まさに岩盤上の痩せた畑。ワインは硬く、他には無い強靭な骨格を持つ。
ヴーヴレは同じ畑から多彩なワインを産出する稀有なアペラシオン。
ペティアン(微発泡)
メソッド・トラディション(ビン内二次発酵)
セック(辛口)
ドゥミ・セック(半辛口/やや甘口)
モワルー(甘口)
などが造られる。
ユエは1928年に設立されてから、この3つの畑でシュナン・ブランを造り続けてきた。元々自然を重視した栽培だったが1988年には全ての畑にビオディナミを導入。畑の状態とその年の天候に従うだけというのがユエの考え方。よってリリースするキュヴェはその年のブドウの熟度によって変わる。
ペティアンからモワルーまで色々なワインを造っているが、その年のブドウの熟度により糖度は150g/Lから400g/Lまで大きく異なる。自然酵母での発酵なので糖度の高いブドウは発酵後に自然な糖分を残す事ができる。つまりブドウの熟度の上がった良年にしか「ドゥミ・セック」や「モワルー」を造る事ができない。
シャプタリザシオン(補糖)は絶対に行わないため、その年に甘口を造るのか、辛口を造るのかはブドウと酵母が決める。
非常に珍しいことだが、辛口から極甘口まで全く同じ醸造方法。砂糖も酵母も添加しない。プレスされた果汁は数時間のデブルバージュの後に600Lの古木樽で発酵を始める。発酵が終わると数回移し替えを行い、澱を取り除くだけ。瓶詰めは通常翌年の4月。辛口から甘口まで基本的に同じタイミングで瓶詰めされ、その時点で残った糖分がワインの味わいを決定する。数年の熟成を経た後、飲み頃を迎えたワインをリリース。モワルーは10年以上の熟成を行う事もある。
ワインドアドヴォケイトでこう称賛されている。
「1928年に設立されたこのドメーヌは長年にわたりロワール地方のベンチマークの一つとして君臨してきました。ドメーヌ・ユエはヴーヴレの柱であり、世界中のシュナン・ブランの試金石であり続けています。ブドウ栽培、哲学、そして畑が、並外れた透明感と長期熟成の可能性をボトルの中で融合させています」(ワインアドヴォケイト2025年10月10日号)
【ヴーヴレ・ル・モン・ドゥミ・セック2022】
ル・モンは1957年に取得した畑。土壌は粘土質が少なく、小石やシリカの含有量がル・オー・リューよりも多い。収穫は1つの畑で3回。状態の良いブドウのみ手作業で収穫。発酵は古樽で自然酵母を使用。マロラクティック発酵も自然に任せるのでノン・マロラクティックの年も多い。ミネラル感に富み、若い内は閉じ気味だが熟成してから一気に変化するのがこの畑の特徴。
2022年は酸味がやや控えめなため、口当たりが良く、秀逸で親しみやすい味わいに仕上がった。残糖21g/L。
【試飲】
グラスからレモンの果皮など柑橘系果実、ミネラル、ハチミツの香りが感じられる。ドゥミ・セックで残糖が21g/Lだから甘いのかと想像していたが、爽やかなやや辛口で甘酸っぱい果実味が口中でエレガンに広がっていく。しっかりとした酸と繊細で奥深い果実の旨味が染み渡る。飲み疲れないバランスの良い美酒。個人的にはヴーヴレを熱心に試飲しているわけではないが、今まで私が飲んだヴーヴレのドゥミ・セックの中で3本の指に入るほどの旨さである。名匠ユエの凄さを感じる1本。時間と温度の変化によりヴォリューム感は増していった。(2026年4月上旬試飲)
★ヴィノス 95点
飲み頃:2024~2038年
The 2022 Le Mont Demi-Sec is less fruity and charming than, say, Clos du Bourg; its tension and line come from its flinty terroir. Despite its 21g/L residual sugar, it retains a sense of tautness without being totally linear. Radish and pear notes linger on the long finish. This is grown-up demi-sec.(By Rebecca Gibb MW on June 2023)




